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Author:dancingwolf
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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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ライターのアンテナ
現役ライターのアンテナに引っかかった本、雑誌、DVD、映画、音楽etc.の紹介や、偏愛する作家、ミュージシャンなどの評も。
読書日記
他人様の読書日記を読むのが好きだ。
自分のアンテナだけで本を選ぶと、いつも同じようなジャンル、同じ作家さんのものばかりになってしまう。
それはそれでもちろん楽しいのだけど、たまには新しい出会いが欲しいもの。
というわけで、今回選んだ読書日記は、今期の直木賞作家・桜庭一樹さんの。

いやあ、さすが作家。
凄い読書量。
しかも、今をときめく売れっ子で、いくつも新作やらインタビューやらを抱えながら、よくまあこれだけ読めるもの、と驚嘆してしまう。
ご本人がミステリ作家だから、もちろん、ミステリが多いけれど、時々「コクトー詩集」なんてのも出てくるし、「へ?何故こんな本を?」と、首をひねるような本も登場する。

とても共感したのは、出会った人に必ずお薦めの本や映画を聞くと言うところ。
自分の選択だけだとどうしても偏って狭まってしまうから、と。
分かります、分かります。
それから、新しい本ばかりではなく、ぜったいに古い本を読むということも。
新刊本には確かにその時代時代の特性が表れるけど、時代が同じというのも世界を狭める感じがしますもんね。
私も時々、ミステリだと、何故か急にアガサ・クリスティが読みたくなったり、する。
シェークスピアを突然開いてみたり、ね。

ものすごく羨ましいのは、新宿在住で、本屋さんが近いこと。
紀伊国屋にスタスタ歩いていけるって素敵。
おまけに、いったいこれほど大量の本をどこにしまっておけるのだろうか、この方は。
本文によると9畳くらいの1ルームとあるんだけど、この読書日記に掲載されている本だけで、埋もれてしまいそうですぜ。
私の本棚は目下三棹。
ずっと二棹で我慢してきたけど、今の家に越して増やした。
それでも、もう入りきらない。
縦にしたり、横にしたり、ギューギュー押し込んだり、とかなり悲惨なことになっている。
なので、新刊本はなるべく図書館で借りたり、
買ってもAmazonで売っぱらったり。
それでも、やっぱりどうしても買ってしまう物があって、その分何かを減らさなくてはならず…頭痛のタネ。
読書家の皆様はどーしてるのかしら?
私の夢は、田舎屋の蔵の中を一面本棚にして、夏の暑い日も座り込んで涼しい中で、思い切り本を読みふけること。

それはさておき、この読書日記のおかげで、「お、これは」と目を留めた本が数十冊。
(紹介されている本は、優にその3倍はあります)
ふふん、読破するのが楽しみだなー。
あと、作家の生態をかいま見ることができるのも楽しい。
美味しそうなもの食べてらっしゃいますわねというのは羨ましいけど、
新作のために、ひき籠もるのは鬼気迫る。
食べず、読まず、人と会わず……創作の神が降りてくるのを待つ。
なるほど、これが作家ね、と思わせてくれる。
そういう作家が、その人なりの「ワールド」を作っていけるのですわね。
本屋大賞
今年度の本屋大賞が発表された。
こういう結果↓だった。
大賞     『ゴールデンスランバー』   著/伊坂幸太郎
2位 『サクリファイス』   著/近藤史恵
3位 『有頂天家族』   著/森見登美彦
4位 『悪人』   著/吉田修一
5位 『映画篇』   著/金城一紀
6位 『八日目の蝉』   著/角田光代
7位 『赤朽葉家の伝説』  著/桜庭一樹
8位 『鹿男あをによし』   著/万城目学
9位 『私の男』   著/桜庭一樹
10位      『カシオペアの丘で』 著/重松清

残念ながら、2位の「サクリファイス」と10位の「カシオペアの丘で」は未読なのだけど、他の作品は一応読んでいた。
大賞の「ゴールデンスランバー」は、首相爆殺犯として追われる主人公の逃避行を描いた作品。

ものすごく注目を浴びる犯罪の割に、良くも悪くも、「手に汗握る」感がないんだなあ。
首相暗殺に使われるメカとか、主人公が逃げまどう仙台市内に張り巡らされた監視装置、なんてのや、突然現れる殺人鬼とか、ほんとはかなり怖そうなのに。
追われている主人公の思索や、彼を助ける元恋人の描写に、何とも脱力させられる。
でも、破綻しているわけではなく、構成や文体は精緻なんだなあ。
多分、ハードボイルド系の作家が書くと、全く違う作品になるんだろうけど、その手の作品だと思って読むとスコンとはずされる。
このあたりが伊坂さんらしいって言うのかな。
個人的には、今文庫で出ている「死神の精度」や「週末のフール」の方が好きだけどね。
この作品も映像化されるんじゃないかしらん?と思う。
映像クリエーターの触覚をくすぐるものがあるんだなあ、伊坂作品には。
でも、正直、本屋大賞がこれを選ぶとは思わなかった。

私が「これでは?」と予想していたのは、

一本一本の映画に関わるストーリーが並んだ短編集。
なんて言うと「ありがち」だけど、全てが「ローマの休日」に集約されていくところは、さすがに「上手い!」。
それに、ストーリーのキーになる映画がどれも結構渋め。
「ほお、この作品ですか」と、意外に思いながら読み進めることになるのだけど、作者の映画への愛が随所に感じられる。
読後感がいいから、本屋大賞向きかなと思ってたんだけど、ハズレでした。

どれも書店員さん達が推している本だけあって、好き嫌いはあっても、「ちぇっはずしたぜ!」という徒労感は少ない。
打倒直木賞!が目標らしいけど、直木賞作品よりは取っつきやすいし、読みやすいと思うよ。
もちろん、それだけが作品の長所じゃないから、直木賞はどんどんコアな、新しい才能に賭けて欲しいけどね。

でもまだ森見さんや万城目さんが候補に上ってないあたり、直木賞より本屋大賞の方が、読者の好みに遙かにvividですね。
「売りたい」本に授賞する賞だから当然だけど。
森見さんの「有頂天家族」は、森見作品の中では一番の好み。
タヌキの家族愛に泣けますぜ!
有川浩さんの「阪急電車」も入って欲しかったな。あ、来年かな。
阪神電車やJR沿線の人も、大阪・神戸在住の人は、読むべし!です。
大阪・神戸を離れた人は、望郷の念断ちがたくなるでしょう。





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空気感のある小説~~「私の男」~~
ご存じ、今年の直木賞受賞作、「私の男」。
これ、何とも言えない空気を持つ小説なんです。
直木賞選考委員の方々の「こんなテーマは好きじゃないけど、選んじゃった」「選ばざるを得なかった」というコメントに、今回は素直に頷いてしまいますわ。
なんたって、「近親相姦」の話ですからね。
ものすごく簡単に言ってしまうと。

主人公の腐野花(何ちゅー名前。この時点でもう、作品の空気がにじみ出てきます)は、誰もがうらやむような良家のお坊ちゃん(しかも、善良)との結婚を控えている。
花は、養父の腐野惇吾と二人暮らし。
小菅の、東京拘置所近くの古ぼけたアパートに住んでいる。
花は、9才の時、奥尻島の地震で家族を失い、当時25才だった、遠縁の惇吾に引き取られ、海上保安庁の巡視船に乗っている惇吾と共に、紋別で暮らし始めた。
しかし、花が中学生の時、とある事件が起こり、二人は逃げるように上京する。
そして、その事件は、また新たな事件を呼ぶ……

というようなストーリー。
いや、最初は読みにくいというか、何というか、「オイオイ、子供と養父の近親相姦の話って……それ、虐待じゃん?」という疑念と嫌悪感が浮かぶ。
いや、浮かばざるを得ないでしょう。
ところが、嫌悪しながら、次々とページをめくってしまい……
気がついたら、降りるべき駅を3駅も乗り過ごして読みふけってしまった。
これが、作者の桜庭ワールドに取り込まれるってことなんです。

桜庭さんの作品には空気がある。凄く特殊な。
まず、舞台となる土地の空気。
この作品では、青黒い海に覆い被されそうな紋別の町。
行間から、潮の匂いまで漂ってきそうな。
東京拘置所裏の、何とも荒涼とした雰囲気。
行ったことのない町だけど、今確かに自分がそこにいるように感じさせられる。
匂いや、風邪や、温度や湿度……を肌に感じるように。

筆力のある作家や、好きな作家には、誰でもその作家なりの「ワールド」があるけれど……
例えば宮部みゆきさんなら、作品全体から漂う情や、優しさ、
奥田英朗さんなら、皮肉さとユーモア、
のような。
桜庭さんの場合は、それとはまた違う何か。
正直言って、決して好きなタイプの作品ではないだけに、何故惹かれるのかがわからないけど、何だか……という感じか。
多分、直木賞選考委員の方々も、こんな感じを味わったではないかと推察するのです。

共通点があるなあ、と思うのは、作風は全然違うけど、
桐野夏生さん、かな。
桐野さんも、独特な空気感を持つ作品を書く人だから。
でも、桐野さんは、視点がしっかりしていて、何というか、「刺すような目線」の作品。
桜庭さんは、「どこを見ているかわからない不思議な目つき」の作風。
共通しているのは、「空気」だけかもしれない。
これまた作風は違うけど、カズオ・イシグロにも共通する空気感?かもしれない。

何にしろ、この手の作品につかまると、後を引く。
読後感が全然良くなかったり、
「この構成はどうなってるんだ?」という疑問は次々湧くものの、また次の作品が出たら読んでみようかなと思ってしまう。
ええ、とっぷり捕まってしまいましたわ。
桜庭一樹ワールドに。
好き嫌い、賛否両論、いろいろある作品だと思うけど、あの空気にとっつかまってみたいかたは、ぜひご一読を。


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負けるな、チベット!
もう10年前になる。
カトゥマンズからヒマラヤを飛行機で飛んで、たどり着いたチベットは、ラサ。
空港からラサの市街地までは、実にのーんびりした、見渡す限り一面の茶色い地面。
そこを、ヤクを引っ張って耕している人々がぽつんぽつんと見える。
見せてもらったごく普通の民家には、恥ずかしがり屋の少年とその姉がいて、江戸時代の村の生活ですか?というような暮らしをしていた。
痩せた大地と、そこを懸命に耕して暮らす人々の質実な生活が垣間見えて、ポタラ宮を見る前から、この地が大好きになった。
薄い空気の中、町を歩くだけで息切れがしてしまったけれど、そびえるポタラ宮は壮観で、何より町の中にあちこちで見られるチベット人巡礼者の一途な姿が、強く心に残った。
私達が想像も出来ないほどの荒涼たる土地を、山羊等を追って暮らす遊牧の民。
その彼らが、何百キロも徒歩でラサの町へ出かけてくる。
わずかなお金を握りしめて。
何度も何度も五体投地を繰り返し、神への祈りを捧げる彼ら。
苦しい生活の中で貯めたお金で、彼らはお寺に捧げるろうそくを買う。
まさに「貧者の一灯」だ。
こうした姿を見る時、つくづくと、宗教心の薄い自分が切なくなる。
心の中によりどころを持つことの強さに憧れる。

そのよりどころを、誰が勝手に奪えるというのだろう?
ダライ・ラマ話を崇拝しているとしれると迫害される(投獄もあり得た)中、表向きは中国政府が擁立したパンチェン・ラマの写真を飾りながらも、胸ポケットの奧にダライ・ラマの写真をしのばせていたチベット人のおじさん。
彼は無事なのだろうか?
きっと多くのチベット人が、あのおじさんと同じ気持ちでいたに違いないと、当時の私は思った。
そして、それは間違いではないと思う。
ここのところのチベットの争乱を見ると。

根本にあるのは、虐げられたチベットの民の鬱憤だ。
心のよりどころを奪われた上に、押し寄せてくる漢人達の圧力。
元々かの地に暮らし、美しい文化を創り上げてきたチベット人達の賃金は、漢人の何分の一だという。
さらに、中国政府は、まず回人(ウイグル人)を先にチベットに移住させ、チベット人と溝を作らせたとも。
今回の暴動でまず犠牲になったのは回人だという報道もある。
それが本当だとしたら、いかにも巧妙な卑劣さだ。

私が旅行した10年前は、弾圧を受けているとはいえ、まだしも平和な状態だったらしい。
最近友人が旅した時には、空港からラサの町までの間には恐ろしく立派な高速道路と、住宅街が出来ていたという。
多分、それはチベット人が創り上げた文化を観光資源に金儲けを目論む人間達が住む住宅なのだろう。
あの少年の家はどうなったのだろう?
強制的に移住させられていないといいのだけど。
心が痛む。

暴動で、これ以上チベット人の血が流れるのは辛い。
でも、中国政府の武力行使に制圧されるのも、悲しい。
負けるな、チベット!と応援するしかない。
世界中が、今チベットを見ているのだと。

中国政府に弾圧をさせないようにプレッシャーをかけなければ。
こんなサイトもあります↓
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/
私もFAXを送ろう。
負けるな、チベット!

チベットの美しさを知りたい人は、やっぱりこのDVD

この映画を見て、私はチベット行きを決めました。単純(^^)
でも、行って良かった。
見て良かった、です。オススメ

テーマ:海外ニュース - ジャンル:ニュース

くーー、おもしろーい!大奥!
以前から気になっていた、このコミック、「大奥」。
やっと読むことができましたよ。
「大奥」って言ったら、あの、例の徳川版ハーレム、美しい女人が鈴なりになっていて、そこで起きる色と欲の絡み合った、いかにも……な世界。
ですよね、普通は。
でも、よしながふみさんの描く「大奥」は、そんなイメージを軽く蹴り出す奇想天外ぶり。
何たって、この「大奥」に鈴なりになっているのは男達。
そう、徳川の将軍はある時から女になり、当然「上様」の夜とぎをするのは男というわけで。
読む前から、この逆転の構図は面白いと思っていたのですが、いやあ、予想を超えてました。
「奇想天外」と書いたけど、「荒唐無稽」ではありません。
何故、徳川の将軍が女になったのか。
それは、日本に若い男だけがかかる疱瘡が大流行し、各地で、若い男達がばったばったと死んでいったからなのです。
病は貧富の差無く襲いかかり、大名各家も、将軍家も、跡取りの男達が命を落としてしまう。
それが三代家光の頃。
やむなく当時絶大な権力を誇った春日局が、家光の隠し子であった娘を将軍に祭り上げ……
というわけ。
で、この作品がとりわけ良くできているなあと思うのは、本来の男性将軍が君臨していた時とほぼ同じ事件や逸話を取り入れているところ。
例えば、家光が若い頃衆道に夢中で、ろくに女性に見向きもしなかったところを、春日局の一計で、伊勢の慶光院の院主であった尼を還俗させ、差し出したところ、家光がすっかり気に入って愛妾にしたという逸話やら、
八代吉宗が倹約のため大奥改革に乗り出した時、その目的を言わずに「もっとも美しい女五十人」を選ばせ、その五十人の美女に、「それほど美しければ他に生きていく道があろう」と、宿下がりを命じたという話やら……
上手い!
おまけに、男女がひっくり返っても、美しいものや、寵愛を受けて出世していく者への嫉妬やねたみは同じ。
その辺の機微も見事に描かれています。
女にして将軍となった家光の数奇な運命と、その恋人である慶光院院主の貴族男性との悲しく切ない恋からも目が離せません。
この家光、いーんだな、これが。有能で酷薄で。「女だから」っていう先入観が吹っ飛ぶくらい。
当時の君主というものの実像を捕らえています。
妙齢の男性が次々死んでしまう事による市井の女達の悲劇や、いじらしさも心を打ちます。
うーむ、天晴れ!!
現在三巻まで発売されていますが、この先が早く読みたくてたまらない!
久しぶりにそんなコミックに出会えました。
よしながふみさん、がんばれー!!