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失われゆくもの

結婚してからは、夫の仕事の都合上、長い旅行はできなくなってしまったけど、それまでは旅行が一番のストレス解消だった。
中でもこたえられないのが、ピラミッドなどの遺跡と秘境の旅。
ことに中南米方面の旅行には目がなくて、メキシコ、ベリーズ、グァテマラを旅した経験を生かして、今までに一冊少女小説を書いているくらい(^^;)(→もう絶版だろうなあ。角川ビーンズ文庫から出したんだけど)

素晴らしかったのは、マチュピチュね。
しかも、一般の観光客とは違って、インカ古道を6時間ハイキングしてマチュピチュにたどり着くという行程で、マチュピチュを望む丘の上に着いたとき、おりしも降っていた雨がさーっと上がって、神々しいまでの光が遺跡にさした瞬間には、インカの神に捧げる踊りでも踊りたくなった。
到着した頃には、既に観光客は帰りのバスに乗り込んでおり、マチュピチュの中は空っぽ。
おかげでベストショットの写真をたくさん取ることができた。
夜はマチュピチュ内のホテルに泊まったので、これまた誰もいない朝焼けのマチュピチュを歩いたりして。
通常は朝早くクスコからやってきて、午後にはもうマチュピチュをでないといけないので、遺跡内はどこも行列状態らしい(有名な世界遺産だから当然だけど)。
やっぱりマチュピチュはこのホテルに泊まってこそ醍醐味が味わえる・・と思っていたら、もうそこのホテルに泊まるツアーはなくなってしまったという。
おまけに、マチュピチュの写真によく写っているとがった峰(ワイナピチュ)も、私が旅したときにはしっかり上れて、ワイナピチュからマチュピチュの全貌を見ることができたのだけど、今は落石の危険があるとかで登れなくなっているという。

そういえば、ピサの斜塔も、私が旅したときは登れたのだ。
つるつる滑りやすい床で、ろくに転落防止の柵などもなく、けっこうハラハラしながらだったけど、登って、てっぺんで万歳ポーズとったもんだった。
ご存じの通り、ピサの斜塔は傾き続けて、今では登る人もいない。

チベットに行ったのはもう8年か9年前で、空港からラサのポタラ宮までは、役が畑を耕すのどかな風景が見られ、シャイだけど心優しいチベットの民家の中まで見せてもらうことができた。
ラサの町もどこかのどかで、五体投地をする人たちの姿を目の当たりにして、彼らの信仰の深さを実感したものだ。
ところが、先日同地を旅行した友人によると、空港からラサの町まではハイウェイと呼ぶにふさわしい立派な道路ができ、かつてあの土作りの民家があったところにはニュータウンができているという。
それも、チベットの人々が住むためではない、漢人の移住用だという。
あの恥ずかしげに微笑んでいた少年の住む民家はどうなったんだろう?
きっと立ち退かされてしまったんだろうなあ。
ラサの町には巨大な鉄塔が建てられ、秘境感はまるでなかったと友人は言っていた。

こうして、失われていくものがとても多いことに気づかされる。
数年前に潜った海の珊瑚は白化していないだろうか、行きたくてたまらなかった中東の町は戦火に焼かれていないか、見たかった遺跡は津波にのまれていないか・・
それを考えると、矢も楯もたまらず、世界のあちこちに飛んでいきたくなる。
まだまだ私の見ていないもの、振れていないもの、感じ取っていないものが失われていったらどうしよう、と。
どうしようもないのだけど・・切ないなあ
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テーマ : 世界遺産・遺跡・名所
ジャンル : 旅行

リアル鬼ごっこ



10代の女の子に「今読んでいる本」や「はまった本」のことを聞くと、圧倒的にこの作者の名前が出てきたりする。
映画化された作品もある。
で、前から気になっていたので、文庫本になったのを機会に読んでみたんだけど・・
ふーーん、これが10代の少女たちのおもしろがるものなのね。

「佐藤」という名字の人間が氾濫する王国。
暗愚な暴君の名字も、その「佐藤」だった。
暴君は、佐藤の名を持つ人間を抹殺するべく、所定の時間に国を挙げての「リアル鬼ごっこ」を始めることにした。
その鬼ごっこは、まさしく殺戮のゲームだった。
主人公の佐藤翼は、陸上部員で、足の速さは誰にも負けないという自信を持っていた。
父の暴力に耐えられず家を出た母と妹の行方を捜そうとする翼は、佐藤という名を持つが故に、愚王の放った鬼におわれることになる。
父が殺され、友人が殺されるのを目の当たりにしながら、翼は生き別れた家族を追い求めて駆け出す・・

というストーリーで、サスペンスと寓話性が同居しているあたり、着想は面白いのだけど、いかんせん文章が・・
読んでいて腹立たしくなってくるんだよね。本好きの本読みからすると。
この本は、今はやりの自費出版で刊行され、それが口コミで広まって、何十万部というヒット作になったという変わり種。
元々本も読まない、文章も書いたことがないという若者が、初めて書いた小説駄というのだから仕方ないのだろうけど。
でも、それがこんなに当たったというのだから、何年も作家修業している人は地団駄踏みたくなるに違いない。
ああ、文庫本で読んで良かった。新刊書買ってたらぶち切れてたわ。
文章の下手さを涙をのんでこらえても、どうしてもぬぐえない違和感があるんだもの。
だって、殺されたくなきゃ、改名すりゃいいじゃん。
改名も許されず死んでいくのなら、なんかレジスタンスが起こるだろう、佐藤さんの間で。
こういうところ、10代の読者は気にしないんだろうか?
やっぱり10代の若者の好みを知ろうなんてしちゃいけなかったのね。
おとなしく?名文を読んでいきます、これからは。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

芥川賞作家?直木賞作家?



この吉田修一氏という作家は、確か何年か前に、芥川賞を受賞してるのですよ。
なので、不勉強な私は「あ、ジュンブンガクの人ね」と、頭から決めてかかってたのでした。
しかし、タイトルが「初恋温泉」でしょう?
あまりにも「ジュンブンガク」の匂いがしないので、手に取ってみたのでした。
ウン、全然その手の匂いはしない短編小説集でした。
伊豆だの東北だの京都だのの温泉に来ている男女を中心に描かれる恋模様やら家族の葛藤やら。
さすがに大人の作家だけあって、そこにはほのかな苦みやちくっとする切なさが。
お湯にたとえて言えば、別府温泉のような硫黄臭が濃い温泉ではなく、さらっとした無色透明な伊豆あたりの温泉って感じでしょうか。
しかし、この作品の書き手が芥川賞作家って・・やっぱりわかんない。
芥川賞と言えば、文学に疎い人でも知ってる有名な賞ですが、受賞したら私のようなお先走りの人間には「ジュンブンガクの人」と思われて、かえって手を出されないというリスクもありますね。
もらった方も「なんで芥川賞?」とか思わないのかなあ。
そう思っても、なかなか辞退はしないものなんでしょうが。
(もちろん私だって作家だったらいただけるものはいただいておく(^^;))

テーマ : 書籍紹介
ジャンル : 本・雑誌

文庫の解説が面白い!~「もっとわたしを」


ファンを自認している平安寿子さんの「もっとわたしを」が文庫になった。
ええ、ファンですから、とっくに新刊本で読んでます。
けど、この文庫、解説がよいのです。
あの奥田英朗さんが書いてるのですよ。
しかも、のっけから「女流作家は嫌いです」と一発かまして。
ま、「いや、でも平安寿子だけは別なんですよ」という流れなんだけど、そこに至るまでの<女流作家>の類型が面白い。
<女流作家>はブスばかりと言いきり(故に若い頃ちやほやされなかった恨みを作品にぶつける)、作品は自己陶酔で、売れっこ作家になったらエッセイには担当編集者を総登場させて権勢を誇り、女性誌で説教まで垂れ、著者近影は女優目線にソフトフォーカス・・
うーん、思い当たる。
これって、完璧に某売れっ子<女流作家>さまでは?
いや、とても恐ろしくて実名は出せませんけど。
いいのか、奥田秀朗?大丈夫か?(と、本人も書いてるけど)
ま、いいのね。もう直木賞取ってるし、売れっ子だから、文壇パーティとか無視できるし。
それに比べて、と続くのが、やっと平安寿子さんへの賛辞。
こちらも的を射てます。
いや、でも正直、賛辞より、<女流作家>への毒の方がよっぽど面白い。
確かに、私も某<女流作家>さんの作品は、数作を除いて読むたびにイヤーな気分になり、ほとんど手に取ることはない。
ウン、奥田秀朗さん指摘の通りの作品だからね。

ということで、既に新刊本でお読みの方も、本屋で解説だけでも除いてみることをオススメします。

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テーマ : お気に入りの本
ジャンル : 本・雑誌

読み返しても面白いミステリ、サスペンス

中学生時代はアガサ・クリスティ。
高校時代はカトリーヌ・アルレー。
大学時代はメアリ・クラークにルース・レンデル。
数年前はジェフリー・ディーヴァー・・
と、その時々に追いかけるミステリ、サスペンスの作家がいた。
で、こうした作家の作品は、長いこと本棚に並んでいる。
(さすがにアガサ・クリスティは作品量が膨大すぎて、ファンだという年下のいとこにすべて譲り渡したけど)
ふと手にとって読み直してみると、ストーリーも結末を知っているはずなのに、手に汗握って読んだり、「やっぱりうまいなあ」と感心したり。
そんな作家の一人に、メアリー・ウォーカーがいる。
今から10年ちょっと前くらいに凝った作家だ。


これは、死刑を目前にした連続殺人犯のインタビュー本を出したライターのモリーが、本の発売と同時に、再び、殺人事件に巻き込まれる、というもの。
当時と同じやり方で、かつて妻を殺された男の再婚相手が殺される。
連続殺人犯は、処刑を目前に刑務所にいるというのに。
そして、連続殺人犯は、その犯罪をやっていないと言い出した。
それを信じるものはいない。
ただ、モリーだけは、犯人の言葉に引っかかりを覚え、かつての事件を追っていく。
その中で新たに起こる殺人。
更にモリーの命も狙われ・・
という、手に汗握る展開。

このモリーというキャラクターがとてもいい。
少女期に父を殺され、そのトラウマを抱えたまま成長したモリーは、三度の結婚に失敗し、今はワーカホリックそのもの。
別れた夫である警察官と、その間にできた一人娘とも言い関係にありながら、一人暮らしをしている。
自分でも、「こんな事はやめよう」と思いながらも、一度気にかかったことは最後までやり遂げずにはいられない。
連続殺人犯をして、「決してあきらめない闘犬のようだ」と言わしめる。
決してスーパーウーマンではない。
おそわれれば恐怖におびえ、パニックを起こす。
テキサスとクアーズライトを愛し、エアロビに息も絶え絶えになったりする普通の女だ。
それでも、その不器用なまでの一直線な生き方が、さまざまな謎を解き、事件を解決に導いていく。
たまたま先日読み返してみて、やっぱり面白かった。

同じくモリーが活躍する「神の名のもとに」は、オウム事件が起こるより先に、子供たちがカルト集団によって監禁されるというショッキングな事件を描いた秀作。

まだ読んだこと無いわ、という方にオススメ。
しかし、「すべて死者は横たわる」から以降、日本では著作にお目にかかれない。
惜しい。

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

イトウの恋



先日「斉藤美奈子さんお墨付き」として紹介した「TOUR1989」の作者、中島京子さんの作品。
「TOUR1989」は、気が付くとあちらこちらの書評で取りあげられており、目下の注目作になってたのに、やっと気づいた。
で、「イトウの恋」。
私は「TOUR1989」より、こちらの方が好き。
イザベラ・L・バードという紀行家?の「日本奥地紀行」に想を得て書かれたものらしい。
学のない私は「日本奥地紀行」なんて読んだことないのだけど、それでも「イトウの恋」は十分楽しめる。
本書の中でIBとして登場する白人女性に、伊藤亀吉というまだ若い男が通辞(通訳)として付いて、一緒に日本を旅する。
旅すると言ったって、明治になりたての頃の日本、西洋人はまだまだ物珍しい存在だったのに、その西洋人女性が、外国人なんか一人としてみたことがないという日本の奥地を回るのである。
当然、通辞のイトウはIBにしっかり付き従い、逐一通訳しなければならない。
イトウは、孤独な生い立ちで、過酷な幼年期を経て、若いくせに偏屈で妙にプライドも高いという性格に育っている。
しかし、イトウはIBと旅を続けるうちに、IBへの思いを募らせていく。
若くも、さして美人でもないという設定のIBは、しかしその白い腕が美しく、そして何より現地の日本人に好かれるという人間的魅力を持っていたのだ。
IBはイトウの気持ちに気づき、そして、二人の関係はある日転機を迎える・・

というのがメインの筋書きなのだが、さすがに中島京子という人は一筋縄ではいかない。
IBとイトウの恋は、イトウが残した手記によって語られるのだが、それを偶然見つけたのがさえない中年教師で、更に、尻切れトンボになっているイトウの手記を見つけるために彼がコンタクトしたのは、劇画の原作をしているという元モデルで、彼女は当初イトウの手記にも中年教師にもまったく興味を示さず、手記はそのまま中途半端に放り出されかねない有様だった・・
とまあ、一つも二つもねじって、イトウの恋は紹介されていく。
明治初期の若者の思いと、現代の若者と中年男のありようが交差しているあたりも、その対比が面白かったりする。
うーん、さすが斉藤美奈子さんお気に入りの作家。
納得。

テーマ : **本の紹介**
ジャンル : 本・雑誌

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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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