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風を感じる爽やかさ~~本屋さん大賞受賞作~~

今年度の本屋さん大賞受賞作。

作者の佐藤多佳子さんは、児童文学出身の方。
初めての大人向け小説「しゃべれどもしゃべれども」を読んだ時、ああ、これはいい小説を書く人だなあと思ったのを覚えている。
でも、その後大きくブレークすることがなくて意外だったんだけども、いやー、キタキターッて感じですね。
この「一瞬の風になれ」が大好評で本屋さん大賞に選ばれるし、「しゃべれどもしゃべれども」は、TOKIOの国分君主演で映画化されるし。
実力のある方なので、当然と言えば当然なんだけど。
語り口が爽やか、なんですね。
ことに、この作品は高校陸上部のリレー選手の話なので、いやが上にもです。
苦しい練習を重ね、何リットルもの汗をかいて走る選手たち。
ライバルであり親友でもある幼なじみとの友情、兄と幼なじみ二人の天才に囲まれた主人公の切なさと誇り、部内の友情と、理解ある先生への敬慕、部内の女子へのほのかな片思い・・もう、どこを切っても、爽やかさを感じないはずがない。
最近どこかで感じた感覚、と思ったら、これだった。

こちらも大人気で、映画化されてますね。
著者のあさのあつこさんも確か児童文学出身だったはず。
直木賞受賞者の森絵都さんもそうだし。
児童文学出身の作家産からしばらく目が離せなくなりそうです。

文句付けるとしたらただ一つ。
バッテリーみたいに長編になるなら、一冊の単価はもう少し下げていただきたいもの。
一冊1400円で何巻もって、高校生読者にはちょっと手が出にくいのでは?
いや、今どき、高校生の方がお金もってんのか?
うーん、それはそれでなんか癪。
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テーマ :
ジャンル : 本・雑誌

下流社会なんて甘っちょろい!生きさせろ!

ライターなんて仕事、正直言えば、フリーターそのもの。
ひとつの仕事が終わるたびに「失業者」になるし。
仕事が定期的に来る保証はない。
それでもやっていられるのは、何とか細々なりとも仕事が続いていることと、やっぱり好きなことをしていると思うからだ。
多分、周囲にいる同業者もそうなんだろうと思う。
どこか、楽天的だったりするしね。
「何とかなる」って。

でも、主体的に選び取ったんじゃない「フリーター」の生活は一体どうなっているのか。
それは半端じゃないくらい悲惨だ。
「野麦峠」に匹敵するくらい、いや更にひどい現状が正面から書かれているのがこちら↓

例えば、昨年から問題になった請負偽装問題。
大企業が、本来雇用しなければならない派遣労働者を請負として働かせ、好きなように使い捨てしていたという事件だ。
その大企業というのが、経団連の会長の会社を含め、日本の名だたる有名企業ばかりなのだから、溜息が出る。
漫画喫茶で暮らしているフリーターたちの現状も似たり寄ったりだ。
本書を読んでいると、請負として派遣されているフリーターたちの働かされ方は、「悲惨」としか言いようがない。
過酷な労働条件でこき使い、その上、用意した寮で、さまざまな名目で賃金の中からかなりの量を奪い取る。
必死になって休みなく働いて、実際に手に出来るのは数万円。
それで暮らしていけるはずもない。
労働環境も劣悪だから怪我人や死者も出るが、派遣元も働かせている企業もわずかな見舞金だけ与えて知らん顔。
うつ病にかかって自殺する人も多い。
これって、野麦峠よりひどい。
それが、「戦後最長の好景気」で、大企業は膨大な収益をあげでいる。
読んでいて、自分の住んでいる国が、一体いつからこんな恐ろしいものに変わってしまったのか、慄然とする。
何が「美しい国」だ。
これじゃ、奴隷制度復活じゃないかと思うのは、私だけじゃないはず。
それも、奴隷にさせられるフリーターが、不真面目だとか怠け者じゃないのが悲しい。
ただ、就職戦線に乗り遅れたり、ちょっと運が悪かったり、不器用だったりするだけで、自殺か犯罪かホームレスしか人生の選択肢がないなんて。

この本の表題は、シンプルに人を人として生きさせろ!という叫びだ。
「下流社会」なんて本がベストセラーになり、「中流でいたい」という気持ちを捨てた時点で下流落ち、なんて書かれていたが、現実はそんな甘っちょろいもんじゃない。
今現在、自分を中流だと思って生きている人たちだって、大黒柱が倒れたら、大黒柱の会社が倒産したら、家族が大病を患ったら、家族の中に要介護の人間が出たら、子供がフリーターから逃れられなかったら・・みんなが、野麦峠以下の暮らしに転落するのだ。
みんなそれに目をつぶって、見たくない現実を忘れているだけ。
私達の暮らしている社会に、セーフティネットはない。
これは思い知っておかなければ。
そして、為政者はそれを「自己責任」だと説き、高い税金を巻き上げるだけ巻き上げて、自分たちだけを優遇し、私達には、一本の不安定な綱の上をこわごわ歩く生活を強いる。
どこにも美しさはない。
これが、私達の住まう、私達の祖国、日本。
先進国中、貧困率が最も高い国のひとつ。
現実はかくもひどく、むごく、辛い。
それだけは認識しなければ。
目を背けているだけでは、何も解決せず、転落へ追いやられるだけだ。
そんな思いを強く感じさせてくれた本。
辛いけど、憤りを覚えつつ、読まねばならない一冊、です。

テーマ : **本の紹介**
ジャンル : 本・雑誌

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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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