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私も木になりたい「植物診断室」

中堅商社に勤める寛樹は、40歳を過ぎても独身。
母親からは「いい人がいないの?」と嫌みを言われる。
女性にはもてないが、子供たちには何故か好かれ、人気が高い。
本人には特に結婚願望がない。
彼が今最も興味を示しているのは「植物診断」だった。
多くの植物に囲まれた診断室で、ある種の睡眠療法を受けるのだ。
そこでは、必ず宏樹は植物になっている。
ある時は砂漠に一本だけ生きながらえた樹木。
ある時は、おぞましいくらいあふれるように生えてくるキノコ。
長い長い時間をかけて、それらが生育し、あるいは枯れていく様を、走馬燈のように感じながら、いつも最後は、「何者でもない寛樹自身」であることを自覚させられる。
寛樹はまた、ベランダでジャングリングをしている。
ガーデニングのように、行儀のよい草花を飢えて楽しむのではなく、まさに、マンションのベランダを埋め尽くすような、生命力の強い草を育てているのだ。
いつか、マンションの壁がすべて、寛樹の育てた植物で覆い隠されるような、ジャングルと呼ぶにふさわしい植物を。
十分心地良い生活を送っていた寛樹が、ある時、一人の女性を紹介される。
と言っても「見合い」とか「合コンではない。
シングルマザーとして子供を育てている女性が、「男親が必要だから」と、寛樹に子供の相手をしてくれるよう頼んできたのだ。
おかげで寛樹は、シングルマザー一家と知り合い、親密の度を増していく。
やがて、子供を介してつながっていたはずの寛樹とシングルマザーの間に、ある変化が訪れる・・
というようなストーリーで、出版社の売り文句は、「家族や婚姻制度に一石を投じる問題作」だそうだ。
でも、私は読んでいて、そんなことをまったく気にしなかったな。
むしろ、克明に描写される「木」である寛樹の姿が見事で、こんな診断室が本当にあったら、私もぜひとも診断を受けたいと思う。
私が木だったら、どんな木なんだろう。

さて、この本は、あの斎藤美奈子さんが、「この作品に芥川賞を与えないような選考委員は、診断を受けた方がいい」というようなことをいつもの辛口で表していたのを見て、読んでみたもの。
たしかに。
芥川賞作品はどうも苦手な私ですが、この作品は良いです。
芥川賞受賞作を読んでいないので本当のところは解りませんが、斎藤さんの評が確かなような気がします。
植物診断されることをイメージしながら読むとさらに楽しいかも。
ジュンブンガクも、時にはいいもんですね。
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植物診断か・・・・

私が今2週間に一度カウンセリングを受けているせいか、『植物診断』を受ける、というのが他人事ではない気がします。私ならひねくり曲がった松?多分、花の咲くタイプではないような気がします。面白そうな本ですね~☆

なかなかロマンを感じさせるんですよ、植物診断。
こんな診断室があったら、私もぜひ行ってみたいと思います。
5000円という料金設定も具体的で、リアルだし(^^;)
苦手のジュンブンガク系の方ではありますが、このあと、ちょっと追っかけてみようかなと思っています。
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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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