スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ときには不思議テイストの小説

極めて現実的な人間なので、ファンタジーとか幻想小説、SF小説の類にはあまり手を出さない。
パラレルワールド、なんてテーマになるとおおいにこんぐらがり、自分の頭の悪さを露呈してしまったりするから。
それに、舞台が現実と離れていればいるほど、物語にのめり込めない性質らしい。
ところが、ここのところ、現実世界とずいぶん乖離した小説を続けて2冊読んだ。
舞台は現在の日本、登場人物も「ちょっと変わってるけど近くにいそうな人」だったりもしたから枠組みは取っつきやすかったのかもしれないけれど、両方とも、かなり不思議なお話なのだった。


この作者は、「麦踏みクーツェ」という作品で注目された気鋭の作家らしいのだけど、私は初見。
物語は、不思議な湖の側で始まる。
湖の周りに済む家族の中には、一家で一人、眠り続ける人間がいる。
主人公の2番目の兄がそれだ。
そして、湖はときに滾々とあふれ出し、眠り続ける兄がさまざまなことを語る。
湖は時が来るとまた元の姿に戻り、あふれついたさまざまなものを村人は拾い集める。
そんな暮らしの中に、ある時旅の商人が訪れ・・ 湖の暮らしは一変していく。
というようなお話。
寓話かしらん、と頭をひねっている内、次の章では、舞台が日本になる。
主人公は無口なタクシー運転手で、そのまた次の章では、長野の松本とNYに済むそれぞれの夫婦が主人公に変わる。
聞くだに風変わりな小説でしょう?
ストーリーの枠組みだけを説明しても、この小説の魅力はちっとも伝わらないし、そもそも、説明なんか必要のない小説と言えるかもしれない。
だから書評もみんな、どこか抽象的。
ただ、ファンタジーやら幻想小説やらが嫌いな私が、ぐいぐい引き込まれてしまった物語世界は、やっぱり一読の価値があるんじゃないかと思ったりする。
とまあ、こんな紹介の仕方しかできないわけですわね。
何だろう、食べたことのない、食用だと思われない花を口に含んだら、今まで知らなかった香気を感じた・・というようなことをイメージしてもらうと近いやもしれません。


こちらは、「りかさん」や、「西の魔女が死んだ」などがお気に入りの作家です。
しかし、その2作が、十代の少女を主人公にした、クラシックな香りの漂う少女小説みたいな趣だったのに比べ、こちらはもっと複雑で、女や大人や人間の「生」みたいなものが濃厚に描かれてます。
しかも、設定が奇抜。
妙齢の女性である?主人公は、叔母が亡くなった時、マンションと一緒に「ぬか床」を譲り受けることに。
ところが、このぬか床から出てくるのは、つけ込んだキュウリやなすびだけではなかった。
ある時、入れてもいない卵に気づいた日から、異変は始まり・・
その卵はひとりの少年を生み出した。
早くになくなったかつての同級生にそっくりだというので、彼に心からの友情を捧げていた幼なじみの男に引き取られていくのだが、またも卵が現れ、今度は性格の悪い女が現れ・・
一体このぬか床はなんなのだ?
主人公は亡き叔母の日記や、一人生き残っている叔母の言葉を通して、自分の両親もぬか床にまつわる事件で命を落としたことを知る。
更に変質を続けるぬか床をどうすればいいのか、主人公は「男性であることをやめ、かと言って女性にもなりたくない」元男性と共に、ぬか床の故郷である島に向かう・・
って、これまた奇妙きてれつなお話でしょう?
こんな紹介されて読みたい人がいるんだろうか?
いえ、私は読みたかったんですけどさ。
だって、ぬか床ですよ、ぬか床。
感触も匂いも最高にリアルなものが、不思議なものに変質しているのにはとっても興味が湧いて。
さすがに、私のような不思議小説嫌いには、読むのに時間がかかりましたが、読後感は悪くなく、ことに、島の描写やぬか床発祥のいわれには、「生」の深さ、不思議さを深く感じさせられました。

不思議テイスト好きな方には、文句なく楽しめる2作だと思います。おすすめ。
スポンサーサイト

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

dancingwolf

Author:dancingwolf
FC2ブログへようこそ!
ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。