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やはり、文豪は文豪

最近ようやく、ファンタジー嫌いから脱却しかかっている私。
面白い作品、刺激される小説には、ジャンルは関係ないのね。
取っつきやすさや好みは影響するにしても。
多分、以前の私なら読まなかっただろう作品がこちら↓

ま、簡単に言うと、源平の合戦で、祖母の尼御前に抱きかかえられて海に沈んだ安徳天皇(平清盛の孫で、まだ幼少ながら平家の意向で帝位を継いだ、あの悲劇の天皇ですね)が、実は生きていて・・と、ここまでは平家の落人伝説の中ではごくごくポピュラーに言い伝えられてますが、この作品は更にファンタジック。
安徳天皇は、秘法でもって球体の中に入り、生きながらえているのです。
そして、その球体と安徳天皇を守護するために、天皇に使えるものが考えついたのは、時の源氏の統領であり、これまた悲劇の刃に倒れる源実朝に、その保護を命じることでした。
実朝はご存じの通り、酒色、女色に溺れ、最後には甥である僧・公暁に打たれて命を落とした源氏最後の将軍で、政務はからっきしだったけど、歌の才能だけは後世に名を残すものがあったとされてます。
んが、この作品に登場する実朝は、球体に収まった安徳天皇を何とか守護し奉ろうとする中心であり、心優しい人物なのでした。
結局、安徳天皇と球体は、実朝の死後海を渡り、遙か中国の王国の王子にひろわれ・・と、どんどんスケールが広がっていきます。
滅亡寸前の王国の王子との子供らしい友情が、涙腺を絞ったりして。
これはこれでさすがに評価の高い小説なのですが、後書きを読んで、首をひねってしまった私。
作者は、「この小説は太宰治の『右大臣実朝』なくしては出来なかった」と、最大限の敬意を払っているのですが、待てよ・・私、結構太宰治が好きだったのに、『右大臣実朝』は読んでない!
なんと言うことでしょう。
あわてて図書館へ駆け込み(本屋に置いてあったのは『斜陽』とか『人間失格』とか『走れメロス』とかばっかりで)、あわててページを繰りましたよ。

そして、いや、まあ、もう、なんというのでしょうか。
さすが文豪。
美しい小説です。優れた小説は美しい、と常々私は思ってるのですが、これはまさにそう。
書評によっては、太宰治の一連の傑作の中には推さないというものもあります。
その評も良く分かるところはあるけれど、いや、それにしたって、やっぱり脱帽です。
鎌倉幕府の行事や実朝の細かな行動などを記した『吾妻鏡』を元に、お付きの者が実朝の心を推し量る体で書かれていて、実朝の言葉はごくわずか「ソウイウモノデス」、「ソレダケガイキテイクミチデス』などと挿入されているだけなのに、その一言のカタカナの一文で、実朝の抱える悲哀、優しさ、滅びゆくものの悟りが胸にしみいります。
うむぅ、このあたりが、ただの流行作家とは違う、歴史を経ても読み継がれる文豪の文豪たるゆえんなんですね。
改めて読み直して、続いて何度も読んだはずの『斜陽』や『人間失格』も読み返しています。
今読み返してもちっとも古臭くない。
文学と呼ばれるものが、先人が残してくれたお宝だと実感します。
これを種本に、あの作品を書いた宇月原さんもエライ!
続いてこれも読もうと思ってます↓

ああ、読みたいものがいっぱい。時間がない。でも、幸せ。
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テーマ : **本の紹介**
ジャンル : 本・雑誌

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分かりますわ~~~♪

私は、「時代小説嫌い」から脱却しました・・・。
先日は池波正太郎選「捕り物小説傑作選」を読みましたし。
(岡本綺堂、野村胡堂、藤沢周平の作品が面白かったです)
で!今は!
「ぼんくら」(宮部みゆき)です~~~♪
珍獣さんのオススメですもの、早速、手に取りましたわ!
まだ上巻の途中なのですが、面白くてたまりません。
平四郎さんもステキですが・・・佐吉さんも好き♪

何度もすみません。
私も太宰は好きです・・・。
(でも、一番好きな近代小説家は芥川龍之介)
やっぱし上手いですよねー。
才能だなーと思います。

昔、三島派の友人と「太宰派」「三島派」に別れて、議論しあったもんです。
いずれにしろ、文豪は端正でいながら個性的、哲学があって、人生が描かれている点は共通してますね。

「ぼんくら」、いいでしょう?
大人の登場人物の中では、政五郎さんが結構好きです。
政五郎さんの親分の「茂七大親分」のシリーズも見逃せませんよ。
あと、定番ですが、「御宿かわせみ」も、江戸の風俗が頭に入るので、時代小説ビギナーにはお勧めです。
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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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