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田辺聖子さんの小説~~イマドキの自己中~~

私はもう何年かとあるダンスを習っていて、毎年、クリスマスシーズンになると、それを仲間たちと一緒に発表する機会がある。
少ない金額とはいえ、お金を払って衣装も作ってもらって、11、12月の土、日はすべてレッスンに費やして、という、まあいい大人の趣味にしちゃ結構しっかりやっているのである。
で、先日その衣装の採寸があった。
衣装制作のプロのデザイナーが来て、それぞれのサイズを測ってくれるのだが、そのときにはすでに、ある程度のサイズに合わせたパーツが作られていて、後はそれを各自に合わせて脇を詰めるだけにしてあった。
色はそれぞれ微妙に違う。少し薄目のパステルピンクから、ショッキングピンクまで。
そのとき、採寸していた女の子たちから、「私はこの色じゃなくて、あの色がいい」という声が上がった。
あの色、というのは、インストラクターであり、振り付け師であるトップダンサーの人が着ている色である。
びっくりした。
それって、オリンピックに出られないレベルの人が、「私は金メダルがいい」と言ってるのに等しい。
おまけに、パーツはもうすでに何着分もできている。
小柄な人は淡い色、大きめの人は濃い色。
デザイナーが、膨張色とそうでない色を想定していたのがよくわかるとりあわせである。
しかし、「あっちの色がいい」と言い張るのである。
色が気に入りのものでないと気持ちよく踊れない、そうだ。
そんなことを考えたこともなかった私は、それにもまたびっくりした。
そうなると、我も我もと「私もあの色がいい」「私も」と言うことになり、今まで作ったパーツが全部無駄になりそうな勢いだったので、「わがままは言わないの」となだめた。
だって、そんなわずかな色の違いで今までの作業を無駄にさせ、プロのデザイナーの気分を損ねるのも困るから。
しかし、それがアダになった。
そういうことをいう私は、「心が狭い」のだそうだ。
さらに、「わがまま」などと人を非難する言葉は慎め、というのである。
「人に何か言うときは言葉を選ぶべき」などと言われ、私はそのメールを読んで、本当にひっくり返りそうになった。(じゃ、心が狭い、って言葉はどーなのさ?と、もちろんつっこみたくなったが)

怒るというより、何だろう、この考え方の違いは、と当惑したのだ。
まずもって、全体の調和や、衣装制作の進行より、自分の好みが優先。
彼女に言わせると、「お金を払って衣装を作るのだから、自分が好きな色を着て当然」なのだそうだ。
スケジュールが遅れるのも、デザイナーの取りかかりが悪いから、なのだと。
(実はそんなことはもちろん全然なくて、誰が出演するか決まったのもごく最近のことなのだ。しかも、安い金額にもかかわらず凝ったデザインをしてくれる)

はああ・・
私たちの世代が社会に出たときにも、当時の大人たちは私たちを「新人類」と呼んで、世代間の溝、コミュニケーション不能を口にしたものだけど、いや、これに比べれば全然カワイイ溝だったと思う。
ここまでくれば、もう何も言うことがなく、「ハアハア、そういう考えですか。どうぞ、お好きなように」というしかなくなるではないか。
まあせいぜい、「そんなにこだわった衣装に見劣りしないように、せいぜいダンスの技術を磨いてくれ」とくらいだ。
うちの夫は一時期、一応プロとしてショービズ界の片隅にいた人間なので、「群舞の一ダンサーが、衣装の色に文句をつけるなんて絶対あり得ない」と呆れていたが。
ま、そういう常識は通用しないわけよね。

このブログを呼んでくださっている方の中に20代の方がいらっしゃったら、これだけは老婆心ながら言っておく。
「お金を払ったんだから」と言って、自分の権利、好みを言いつのり、主張を押し通そうとする前に、少しだけ引いて、周りのこと、全体のことを考えてみて欲しい。
それができる人だけが、周囲に愛される。

で、こういう、自分が一気に老け込んだような気分になるときは、心を安らかにするために田辺聖子さんの小説を引っ張り出す。
田辺さんの小説には、そんなにたいそうなキャリアはないものの、自分の仕事に一生懸命で、気配りがきく、素敵なハイミス(今や死語ですが)がたくさん登場する。
若い女が持つ、いわれのない自信や傲岸不遜さに呆れ、社内でイヤな思いもさせられるものの、含蓄のある恋をして、まっとうなおいしいものを食べ、人生の滋味を楽しむ。
ああ、こうありたいと切に願うような30代以上の女性たち。
ああ、田辺聖子さんがいてくれて、小説を書いてくれて良かった、とつくづく思う。
職場で、趣味の場で、家族親類の中で、イマドキの自己中娘に悩まされた皆様、さあ、田辺さんの方を読みましょう。
そして、明日も元気に「大人」の自分に誇りを持ちましょう。
人生の滋味を味わえるように、ね。

↓いずれも、短編集です。読み終えると、「田辺さんは人生の達人だなあ」という感慨がわいてきます。





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テーマ : やさしい気持ちになれる本
ジャンル : 本・雑誌

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悲しいなぁ、、、。最初に思った感想です。
怒る気にならないのも分かる気がします。
話が矛盾しているのも笑ってしまいますね。
ま、これからたくさん揉まれて、いろんなことを
知ってもらうのが一番でしょうね。
なあんていう私もかなり自分勝手ですが、、。

そうなんですよね、悲しいんです。むなしい、ともいうか。
言葉が通じないムナシサ・・みたいなものを感じてしまいます。
「自分勝手」って自分のことを顧みられる人は、多分、自分勝手じゃないんですよ。
そう思ったりします。
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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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