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きいろいゾウ

「さくら」で、滂沱の涙を流させてくれた西加奈子さんの第3作。
語り口の優しさと、その優しさの中から流し込まれる残酷さに、ひやっとしながら引き込まれる。
それが、私の感じる西加奈子さんの作風。
この「きいろいゾウ」も、そうだ。

主人公は互いに「ツマ」「ムコ」と呼び合う夫婦。
でも夫婦だからそう呼び合ってるのではない。
ツマは、本名が妻利さんで、ムコは同じく武辜さんなのだ。
二人は田舎の古びた一軒家に住み、ムコさんはまだ芽の出ていない小説家で、老人介護施設で働いている。
ツマは、犬や鳥や草花と会話する特技?を持っていて、うちのことをしながら、近所の人とも仲良く暮らしている。
一章を読んでいると、とってものどかで優しいおとぎ話だ。
でも、ムコさんは愛する叔母を自殺で亡くした過去があり、ツマの心臓は生まれつき小さくて、体も心もとても繊細だ。
二人の過去が少しずつ表れてくると、心の中にひんやりと影がさす。
のどかなおとぎ話が悲しいお話になるんじゃないかとハラハラする。
ツマとムコさんが醸し出すふんわりした日だまりと、忍び寄るハラハラ。
それを両方楽しみながらページを繰る。
「さくら」同様の西加奈子ワールドに取り込まれているしるしだ。
二人を取り巻く田舎の人々や、都会からやってきた登校拒否児、彼を慕うわがままな女の子も、みんな優しいおとぎ話の登場人物だ。
でも、みんなどこかに「悲しみ」を背負っていたりする。
それがまた良い。
ただのおとぎ話にならないところがね。

けど、こういうテイストの作品、増えたよなあ。
みんな、世の中に疲れてるせいかしらん。
私もその一人で、だから西加奈子さんや瀬尾まいこさんの作品に惹かれて、ついつい買ってしまうのかしらん。
心がひりひりするような物語、読む体力、精神力を失っているとすれば、それは本読みとしてちょっと寂しい。




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テーマ : やさしい気持ちになれる本
ジャンル : 本・雑誌

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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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