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最期の時の迎え方~「終末のフール」

平井堅の「楽園」という曲が好きだった。
最期の時は愛する人と抱き合って眠りたい・・という歌。
きっと多くの人がそれを願い、抱き合って眠る愛する人がいなかったら、その寂しさに慄然とするだろう。
でも、たいていはそんな願いは聞き入れられないのだ。
この小説で描かれているように、8年後に小惑星の衝突で、地球が死滅してしまうというときには。

この物語は、「8年後に地球が滅びる」という知らせを受けてから3年後、の話だ。
そのニュースが流れた頃は、不安、焦燥、怒り、絶望にとりつかれた人々による略奪や殺人が横行した。
それからやっと人々が落ち着きを取り戻したころ。
それでも、不安はいつでも頭をもたげ、小惑星にではなく、暴徒に家族を奪われた人々の苦悩は深く、食料不足は続いている。
人々の不安をついて、デマや噂が飛び交い、だますもの、だまされるもの、噂に巻き込まれるものが横行する。
最期の時を愛する人と抱き合って眠りたい・・なんて平和なことは言ってられない。
それが現実なのだ。
小惑星がぶつかって、地球が滅びる・・
設定はとってもありふれた非現実なのに、伊坂さんの描く生身の人々はみんなとても現実的だ。絶望も、希望も。
殺人や強盗や恐ろしいことがたくさん起こるのも、そして、それでも人が生きていこうとするのも。
じゃ、その時自分はどうするのだろう、とイヤでも考えさせられる。
私はきっと食料品店を強奪する主婦の一団に入ってるんだろうなあ。
最初は「ゴメンなさーい」とか言いながら、でも、「緊急事態だから」とか最後には開き直って。
人のいい夫はそんな世界に絶望して怒るか、それとも生きるために襲撃に加わるか。
結局、二人で抱き合って眠りながら最後を迎える覚悟はできないだろうなあ。
それが人間なんだろうなあ。生身の。
そういうことを空想したり、考えたりさせてくれる本。
ちなみに、恐ろしいことがたくさん書かれているのに、読後感はしみじみとイイ。
それが作家の力量なんだろう。
伊坂さんは脂がのっている。

ああ、でもやっぱり最後は平井堅の「楽園」の世界がいいなあ。夢だけど。
できうるならば。
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ブラジリアンダンスとブラジル音楽、本と旅をこよなく愛する「恥かき」ならぬ「物かき」です(一応(^^;))。独断と偏見と偏った嗜好でつづるブログでございますが、どうぞお気軽に遊びに来てくださいませ。

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