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脚本を読む

「脚本を文学として読んで欲しい」「文学として読まれる脚本を書く」ということを提唱していたのは、故・野沢尚さんだ。
けれど、実際のところ、ドラマや映画、舞台のシナリオをそのままシナリオとして読む機会は少ない。
ノベライズは山ほどあるのに。
敬愛する向田邦子さんの作品も、手に取りやすい文庫になっているのは小説スタイルなのだ。
一つには、シナリオをそのまま読むのに慣れていない読者が多いことがあるだろう。
でも、私は案外シナリオをそのまま読むのがすき。
せりふや、ごく最小限の場面設定をそのまま追っていくと、自分の頭の中で映像が展開していく。
どこよりもラグジュアリーでゴージャスで、なのにお金のかからない映画館に行っているようなもの(^^)です。
情景描写や解説など、特価の視点の動きにつきあわなくて良いので(良くできた小説は、その視点の揺れを追うのが楽しいのだけど)、登場人物の心の動きをより鮮明に受け止められる。

というわけで、私の本棚にはシナリオ作品集が何点かそろっているのだけど、その中でもお気に入りが、これ。
「さよならお竜さん」(倉本聰コレクション7)
昭和55年7月の放送とあるから、25年前!
見たことのない人がほとんどかも。
私は見た。
笑わされて、ほろりとさせられた。
主人公は岩下志麻演ずる一流企業のベテラン秘書。
仕事ができて、口が堅くて役員の信頼厚く、美人で・・なのに処女。
今で言う「負け犬」のハシリだけど、この当時の「負け犬」は、自由を謳歌してばかりはいられない。
周りは「結婚するのが当然」「寿退社が当然」の人たちばかり、同年代の女性社員などまわりにいやしない。
役員秘書という立場柄、近場で安易な恋愛をするわけにも行かず、めぼしい男にも出会えず、ましてや処女の重みにあえぐお竜さん(彼女のニックネーム)。
それが、緒方拳扮する謎の多い男性と知り合い、めでたく?(^^;)処女喪失。
彼にのめり込んでいくお竜さん。
けれど、男には、車いすにのる妻がいた!
そして、男にはもう一つの謎が。
お竜さんは、男と会社を巡る大きな渦の中に巻き込まれていく・・

このときの岩下志麻はかわいかった。
後に極妻になるとは思わず(^^;)
もちろん、権高でタカビーな秘書だったりするのだけど、合間合間に見せる不安、切なさが痛いほどわかった。
何しろ私は中学1年生にして自ら「独身主義」を決め込んでいた(実際夫と会わなければこの主義を全うしていたに違いない)から、お竜さんに共感できたのだ。
独身主義とはきっと孤独なものであろう、と。
そして、お竜さんのように仕事ができても、孤独にあえぐこともあるのだろう、と。

全編に漂うユーモラスでこじゃれた雰囲気(倉本さんは、かなりフランス映画を意識されてたんじゃなかろうか)や、芸達者な役者たちの掛け合いも楽しめた。
もう一度みたい!
でも、「北の国から」は飽きるほど(失礼(^^;))放映されたのに、他の作品は全然お目にかかれない。
惜しい!
これは倉本さんの作品に限ったことではなく、当代の脚本家たちの、脂の乗った時期の作品がテレビ局の保管室に眠っているのはもったいなさ過ぎる。
昨今は、ケーブルテレビで時折昔のドラマや邦画を見ることができるけど、こうした作品が取り上げられない。
番組選ぶセンスがないよ、と毒づいてしまう。

さあ、見たくなった人、せめても脚本でお楽しみください。
せりふのやりとりだけで十分楽しめますぞ。


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